公開ばかりの、映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』を見てまいりました。
今から見る方へ、この映画の見逃せないポイントをまとめました。
※当記事内容はネタバレしない程度になっておりますのでご安心を。
1、俳優「小栗旬」ここに極まれり。
古くは「ごくせん」や「花より男子」などテレビで頻繁にキャスティングされていた小栗さんも今や日本をけん引するシネマ俳優になりました。
個人的にも「コミカルさ」と「シリアスさ」を持ち合わす俳優さんとして、非常に好感を持ってます。
特に刑事役なんか似合いますよね(CRISIS 公安機動捜査隊特捜班 ミュージアム等)
今作でも、時には持ち前の「ナンパでダメ男」の雰囲気で観客を笑いに誘いながらも、悩める小説家「太宰治」を好演していたと思います。
太田静子(沢尻エリカ)からの要求と山崎富栄(二階堂ふみ)に板挟みにされる様子なんかは、観客からクスっと笑いが起きていました。
ただ、こんな奴が自分の近くにいたら間違いなく「クズ」なので、軽蔑されまくること間違いなしです。
先ほど申したとおり「コミカルさ」(シュールともいうのか)と「シリアスさ」を兼ね備えた小栗旬にしか表せなかった名キャスティングだったと思います。
オープニングから始まる「クズ太宰」を思いっきり堪能してください。
2、圧倒的「蜷川実花ワールド」
私がこの人を知ったのはやっぱり蜷川幸雄さんの娘さんという認識くらいでしたが、映画「さくらん」を見てその圧倒的な色彩センスに驚かされました。
今回も随所に「独特の色づかい」の世界観が表現されています。
特に沢尻エリカ演じる太田静子は元華族(諸外国でいうところの貴族級でしょうか)ということもあり、登場シーンでは随所に華やかな色使いが多く使われており、「蜷川感」が圧倒的に支配していました。
監督業としてもさることながらフォトグラファーとして、映画をデザインしている蜷川実花さんのファンも納得の出来ではないでしょうか。
個人的には終盤のシーンで出てくる宮沢りえ演じる津島美知子が家の障子を開けたときに飛び込んでくるカラーが印象的で「切なさ」や「さみしさ」を連想させ、その光景に感動すら覚えました。ぜひ登場するキャストそれぞれの「カラー」にも注目して鑑賞いただければと思います。
3、怪演「二階堂ふみ」
この映画は「二階堂ふみ映画なんじゃないの」という声すら聞こえてくるほど、「女優二階堂ふみ」の世界を大きく広げた作品となりました。
私個人的には「女優二階堂ふみ」は良い意味で「ライトな役柄」「軽めの配役」で作品を整える印象が強かったので、こんなにも狂気に満ちた人間を表現できたのは驚きでした。しかもこれがまたハマってる。
息の長い名女優に必要なものとして「艶っぽさ」「表の顔と裏の顔を持つ二面性」そして「人間的な怖さを表現できる」というがあると個人的に思っていますが、全てをこの作品で溢れだしました。
正直、主演でない状態(限られた時間)でここまで存在感を洗わせたことは本人も語っているように「全てを出し切った」んじゃないでしょうか。
https://thetv.jp/news/detail/204692/(ザテレビジョン)
クズ太宰にハマっていく山崎富栄(二階堂ふみ)の裏に感じる狂気があり、そして史実では最終的に太宰と運命を共にするであろう「恋する女性」という立ち位置。
その過程での表情、セリフなど史実を元に観る者の視点を様々に変化させることで、作品中で出てくる「愛」や「恋」の定義を超越した女性を演じていました。
その怪演を堪能してください。
4、宮沢りえの安定感
他の2人の女性とは明らかに一線を置いた女性、当然ですが、「クズ太宰」の妻である「津島美知子」を演じるのが近年、大女優感もしっかり出てきた「宮沢りえ」さんです。
クズ太宰がどんなにクズの限りを尽くそうが、美知子流の「妻像」を極め、ひたすらに育児や家庭を守ることに専念し、太宰を支える。
そんな流れなのですが、例えば、女好きの太宰が他の二人の女性を「抱いてる」画になるのに、明らかに「抱かれてる感」を溢れ出せるほどの圧倒的な「妻としての安定感」を見事に「女優 宮沢りえ」が表現しています。
最後は子育てをする女性(妻)としての、強さを感じ、「こりゃ、男は女性に敵わないよね」と思いました。正直。
男ってやっぱダメですよね~。特にクズ男。(なぜか女性目線)
5、総合評価 (100点満点方式)
総合評価 75点
キャスティング 90点
ストーリー性 60点
サプライズ性 60点
コメント
各俳優さん、女優さんが出す個性が良くも悪くも、この作品を完全にコントロールしています。
自分が好きな俳優さんが出ていたら見るべきです。
説明にもあったように、作品は監督の色付けにより一つの芸術性を出しており、とても楽しく鑑賞できます。
ただ、脚本やストーリーには小説家太宰治の苦悩や作品を生み出す辛さなども訴えたかったのかもしれませんが、(太宰の生き方がクズ過ぎてでしょうか)苦悩の部分を共感できるまでは至っておりません。
世の中こんな感性や理性のないまま過ごしてる人間もいるんだろうな。という程度にはなりました。
この作品は蜷川監督含めてキャストの中にお気に入りに方がいる場合は劇場へ今すぐ足を運びましょう!演者のファンとしてはとても有意義な時間が過ごせるでしょう!
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